大判例

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大阪高等裁判所 昭和24年(を)3779号 判決 1950年6月24日

被告人

坂本伝太郎

主文

原判決を破棄する。

本件を神戸地方裁判所に差戻す。

理由

弁護人多田克の控訴趣意第三点について。

論旨は原判決は証拠調の方法、公判調書の整理等訴訟手続に法令の違反があつて、その違反が判決に影響を及ぼすことが明かであると主張する。(中略)

原審第二回公判調書の記載によれば末尾に「即日於同庁」とあつて即日整理されたように見受けられるけれども公判調書の整理は公判期日における訴訟手続ではないから公判調書以外の資料によつて反証を許されるのであるが記録を精査すると異議申立書(昭和二十四年七月二十三日附)及び異議申立に関する陳述書(同年十月十日附)等から該公判調書は同年七月十一日の判決宣告当日までに尚整理されていなかつたことが窺知されるのであつて公判調書の整理に関する同法第四十八条は調書の正確性を保障するために設けられた厳格な規定であるから、これに違反した原審第二回公判調書は公判調書としての完全なる証明力がないものと云わねばならない。従つて原審の訴訟手続は所論のような法令の違反があつて判決に影響を及ぼすことが明らかであるから原判決は破棄を免れない。

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